3-8) ナガール村のホッパー氷河

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 朝食の後、再びジープに分乗して、ナガール村にあるホッパー氷河に出かける。フンザとナガールは、フンザ川を挟んで対立する二つの王国で、人種も言葉も違うのだという。カラコルム・ハイウエイができる前は、フンザ川の深い峡谷が、対岸との交通をはばみ、それぞれが別個に発展して来た結果なのだろう。このあたりの観光業を独占しているフンザ人に言わせると、ナガールの人々は、性格が暗くて、教育程度が低く、従ってフンザよりも貧しいのだという。だから、観光客に写真を撮られるのを嫌うので、気を付けて欲しいと注意される。でも、ナガール人にしてみれば、それは豊かなフンザ人に対する反感の表現なのかもしれない。ドイカル村もナガール村も、村の入口には検問所があり、観光客の乗った車から通行料を徴収していた。フンザの子供達は、物をねだったり、押し売りのような真似はしない。しかし、ナガールのホッパー氷河では、子供達が観光客にうるさく付きまとう。

 ホッパー氷河は、氷が激しい波を打っているように見える。氷河の傾斜が大きいので、上流からの圧力が下流にかかって、氷が割れて競り上がってくるのだろう。このような氷河は動きが激しいので、どこにクレバスが隠れているか分からない。非常に危険な氷河なので、我々は小高い丘の上から眺めるだけである。一方、カナディアン・ロッキーで見た、アタバスカ氷河のコロンビア大氷原は、上流の傾斜が緩やかなので、このような氷の波はなく、観光客は雪上車で、氷河の表面を散歩する事が出来る。

 ナガール村からの帰り道、我々の乗ったジープの後輪がパンク。インシャラーに慣れてしまった我々は、予備のタイヤに取り替える間、ヒスパー川の川辺で休憩。でも、運転手の若いパキスタン人の方が焦ってしまった。タイヤ交換が終わるや否や、今までの安全運転とは打って変わって、猛スピードで走り出した。そして、先の見えない山裾のカーブを曲がった途端に、対抗車が目に入った。あわや正面衝突という場面で、双方の運転手が見事なハンドルさばきで、全速力のまますれ違った。こんな場合には、急ブレーキをかけるのは、かえって危ない。理屈では分かっていても、ブレーキをかけたくなるのが人情、改めて、運転手の腕前に感嘆したが、だからといって、こんな場所でのスピードレースは御免である。「スロー、スロー、プリーズ」とお願いする。後で聞いた所によると、この地方の運転手は、山道で鍛えられているせいか、運転技術には定評があるらしい。ニューヨークで、カーチェースさながらのタクシーに出会ったら、その車の運転手は、フンザ出身のパキスタン人だとか。



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