京都・車椅子旅行4(ゴンドラの唄)

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 昼食の後は、みんなで白川通りの石畳を新橋まで歩く。石畳の上の車椅子は、乗り心地が良くないが、この道は僕が京都で一番好きな道。御茶屋街と白川がマッチして、京都らしい風情に浸れる。昔の昼間は、人通りの少ない静かな道であったが、現在の昼間は、俄舞妓や俄芸者がカメラマンを従えて歩いている。紋付袴の花婿と、花嫁衣裳のカップルも歩いている。「御茶屋に泊まって、変身して、白川通りを歩く、」という観光コースが出来ているらしい。

  いのち短し 恋せよ乙女 
  あかき唇 あせぬ間に
  熱き血潮の 冷えぬ間に
  明日の月日は ないものを

 いのち短し 恋せよ乙女 いざ手をとりて かの舟に
 いざ燃ゆる頬を 君が頬に ここには誰れも 来ぬものを

 いのち短し 恋せよ乙女 波にただよう 舟のよに
 君が柔わ手を 我が肩に ここには人目も 無いものを

 いのち短し 恋せよ乙女 黒髪の色 褪せぬ間に
 心のほのお 消えぬ間に 今日はふたたび 来ぬものを

 ふと、この吉井勇の唄と、昔見た白黒映画「生きる」を思い出した。癌におかされて余命がないことを知った、冴えない中年のサラリーマンに扮した:志村喬が、粉雪のちらつく公園で、ブランコに一人乗って、この唄を、寂しく口ずさんでいた。彼の心にあったのは、恋をしなかった自分の人生への後悔だろうか。

 僕も今年は80歳、余命はいくばくもない。でも僕には、アンデルセンの「即興詩人」のこの唄のような、甘い恋の想い出もある。妻とは死別したが、現在のパートナーと、亡妻の娘達が、こうして仲良く車椅子を押してくれている。写真は、孫息子と僕。柳の下に出た、笑顔の幽霊である。人生に悔いはない。

 四条河原町で娘達と別れて、僕とパートナーは鴨川筋で、車を拾って家に帰る。娘達は河原町で買い物を楽しんだ由。

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