B19) 宇宙と虚数空間(マンデルブル集合からの幻想)

 先に書いた書評「どんな数にも物語がある」のマンデルブル集合から、僕の宇宙幻想が始まった。

 何十兆年前、この世界と虚数空間を隔てるメンブレン(膜)の上には何もなかった。ある時、この膜の上に、顕微鏡でも見えないような僅かな皺が寄った。その皺は、膜を境にして、この世界と、虚数空間の間を回転し始めた。最近注目を浴びるようになった弦理論(ひも理論)は、多次元空間を想定しているので、この皺の幻想は、僕だけのものではない。

 この世と虚数空間の間で回転する皺は、回転を繰り返すことによって、マンデルブロ集合のように、収斂するものもあれば、発散して伸びきって消えてしまうものもあっただろう。この収斂した皺の集団が、長い年月の間の「回転による僅かな変化」の集積によって、素粒子を作る材料となった。回転軸は一つではない。現実の3次元に対応して、3本の虚数軸が考えられる。回転軸の組み合わせが、いろいろな皺(=ひも)を生んだ。

 それから、何兆年かがたって、この世にひも(=素粒子を作る材料)が出来上がると、相転移が起こった。冷えたビールの栓を抜くと、急に凍ってしまうことがあるが、相転移とはあんなものだと思えば良い。この宇宙の始めであるビッグバンは、一種の相転移である。この時、膜のこちらにある回転体は、物質を作るものとなり、虚数空間にあるものは反物質となった。因みに反物質とは、電子に対する反電子(=陽電子)のように、電荷は反対だが、あとの構造は全く同じである。物質と反物質は、出会うと反応して、莫大なエネルギーを放散して、消滅してしまう(=対消滅)。また、真空に高エネルギーを加えると、物質と反物質を作り出すことも出来る(=対生成)。対消滅と対生成は、実験で確認されいる。しかし虚数空間は何の根拠も無い、僕の創造(想像)である。

 ビッグバンが起きたのは、150億年(138億年?)くらい前。虚空に揺らぎが生じて、皺(=紐)が出来始めた時に比べればまだ新しい。ビッグバンで出来た素粒子が、やがて水素やヘリウムになり、そして星が出来上がる。その星の中では、核反応によって、鉄より軽い原子が出来上がる。核反応を終えると、星は超新星爆発を起して、宇宙に原子をばら撒く。この爆発で、鉄より重い原子も出来上がる。この爆発で宇宙に散った星屑の原子で作られたのが、我々の太陽のような第二世代の星である。太陽はまだ50億年(47億年?)くらいしかたっていない。一世代が大体100億年だから、第3世代になるまでには、まだ50億年もある。

 小さな単位が寄り集まって、同じような形をした大きな単位になり、その大きな単位が集まって、似たような形の大きな単位を作る。フラクタル構造と呼ばれるこの繰り返し構造は、この世のあらゆる場所で見られる。たとえば、原子は原子核の周りを電子が回っている集合であり、太陽系は太陽の周りを回っている地球などであり、銀河はブラックホールの周りを回っている星の集合である。このフラクタル構造は、この世界がマンデルブル集合のように、この世と虚数空間の間での、単純な操作の繰り返しによって出来た構造であることを窺わせる。原子核は、虚数軸で、虚数空間と繋がっているし、銀河の中心のブラックホールもまた、虚数空間につながっているように思われる。

 宇宙には、まだ確かめられていない、ダークマテリアル(=暗黒物質)やダークエネルギーの存在が確実視されている。僕の幻想は、これらの暗黒物質や暗黒エネルギーは、虚数空間からの影響ではないかと思う。「ひも理論に出てくる膜」を通して漏れてくる、反物質世界からのエネルギーや重力が、この世界に投影されているのではないだろうか。

 銀河の地図を眺めていると、瀬戸内海の渦潮を思い出す。船から眺めた渦潮は、少し中央がくぼんだ平面だが、渦潮は海の中で海底近くまで伸びている。銀河の渦も虚数空間に向かって、深く伸びているのではないだろうか。その渦の底にあるブラックホールは、虚数空間につながる膜があり、そこから漏れた物質は、虚数空間の反物質と反応して、対消滅する。ブラックホールの蒸発と呼ばれる現象なのかも知れない。

 我々の眼には虚数空間は見えないが、実在しても不思議は無いような気がする。マンデルブロ集合の話を読んで、僕が見た真夏の夜の夢である。


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