サファリ(4)国境のランチと、マサイ族のダンス

 ケニアの道路のA号線は完全舗装の、手入れの行き届いた道路だが、C号線ともなると穴ぼこだらけ。昔は舗装してあったらしいが、今は砂埃を巻き上げて車が走る。雨季にはぬかるんで、轍の跡が出来、それを避けて走る車で、また別の轍の跡が出来る。僅かに残っている昔の舗装の残りが、その轍の跡を、更に凸凹にする。こうしてこね回して、乾かしたのが、乾季の道路である。平坦だと思って走っていると、ドスンと落し穴にはまる。ドライバーのジョエル君は、そんな道路で、60キロ以上のスピードを出しながら、道路の落し穴を避けて、頻繁にハンドルを切る。ある時には、対向車と左右反対の路線ですれ違って、「これがケニアだよ」と白い歯を見せる。

 ケニアの国立公園/保護区は、出入りの管理が厳重で、外国人は一日一人20-30ドルの入場料を、ゲートで支払う。ケニア人は数ドルと安いが、現地の生活水準からすれば、べらぼうに高い。公園の中にあるのは、ごく限られた観光ロッジとテントだけで、原住民の住居はない。従って、一旦ゲートをくぐったら、現地の一般人に出会う事はまず無い。出会うのは動物だけである。絶好の狩場をなくした現地人達は、どこに追いやられたのだろうか。イギリスの植民地だったからこそできた国立公園である。

 ゲートを入ったら、直ぐにランチかと期待していたのだが、ジープはひたすら走り続ける。40分ほど走ったのに、レストランらしき建物は何処にも見当たらない。見渡す限りの草原である。ジョエル君に聞くと、「タンザニアとの国境で、ピクニック・ランチだよ」と笑う。冗談かと思っていたら、我々のジープは、保護区をほぼ半周して、South Mara Bridgeに到着。ここで、ピクニック・ランチを設営した車が待っていて、我々の車をブッシュの中に案内してくれる。

画像
 我々の青空レストランは、そのブッシュの中の、良く整備された木立の中にあった。インドの財閥アガ・カーンが造ったものとか。木洩れ日の下に、テーブルが並べられ、スープが運ばれてくる。少し離れたサービス・コーナーには、冷たい飲み物やワインがある。バーベキュー・ランチというものの、ホテル並のサービスである。この野外レストランのスタッフは、我々の今晩の宿舎マラ・セレナ・ロッジの従業員で、10数人のスタッフが、我々のランチの為に、わざわざここまで来てくれたのだという。レストランの脇は、ヒッポ・プール。即ち河馬の溜まり場。マラ川のよどみに、河馬達が浮かんでいた。

画像
 ランチサービスをしてくれた、マサイ族の従業員達が、マサイ・ダンスを披露すると言う。ダンスの場所は、ホテルの脇の斜面を削った小さな広場。土留めの石垣が見物席。広場の後ろにはケニヤの草原が広がっている。観客は我々のグループ6人と、イギリス人とフランス人だというカップルが3組だけ。マサイのダンスは、棒切れをもって跳び上がったり、広場の周りを、掛け声に合わせてスキップしたり走ったりするだけで、とてもダンスと言うようなものではない。浩美と英国娘が誘われて、ダンスの輪に加わった。見ているだけでは面白くないので、小生も棒切れを借りて、ダンスの輪に加わった。


 ダンスに先立って、長身のリーダーが、マサイ族の紹介をしてくれた。我々の感覚では、牛の糞で造った家に住 み、遊牧以外に生活のすべを知らない民は、未開の人種のように思われるが、彼の説明では、遊牧こそが、神がマサイに与えた最高の術だという。 彼の言い分も、なかなか面白いので、以下に記しておく。

 神は、マサイに牛を与えた。マサイは、その牛を世界中に分かち与えた。だから、観客諸君は、マサイの恩恵を受けている。マサイは、野生の動物を食べない。牛の乳と血と肉が充分にあるから、他の民族のように、不味い野生動物を食べる必要が無い。マサイは、牛を守る為にライオンと戦う。この真っ赤な服は、その勇気の象徴であり、この赤い服を見ると、野生の動物達も恐れて近づかない。マサイは、誰にも支配されない。だからマサイには、国家も税金も無い。当然、国境もパスポートも無い。この服を着ている限り、誰もそれをとがめだてしない。(これは、植民地時代に、イギリスがマサイに約束した事で、現在でも、近隣諸国に受け継がれているそうである。マサイの男は、牛を沢山持っていれば何人でも妻を持つ。沢山の牛の乳を搾る為には沢山の妻が必要だからである。一夫一婦と言いながら、浮気や再婚をする、観客諸君は偽善者である。マサイの男は正直だ。何人もの女と結婚する。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック