C5)太陽を囲む丸い虹(日暈)

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虹と言うものは、地平線から空に向かって掛かる大橋のように、半円形だとばかり思っていた。でも、雲南のシーサン・パンナ(西双版納)の熱帯植物研究所で見た虹は違っていた。スコールの過ぎ去った空に、太陽の周りを囲むように、空一面に丸く出ている。太陽の直射光線を、椰子の木陰に避けながら、カメラを構えたのが、上の写真である。

この虹、現地ガイドは「仏光」だと説明してくれた。「仏光」といえば、霧の多い峨眉山の頂上で、見られるという話を聞いていたが、僕の登った時には、あいにく見られなかった。でも、どうやらこの虹は、峨眉山で見られる「仏光」とも違うらしい。峨眉山の「仏光」は、ブロッケン現象と言われるもので、虹とは別物である。

日本に帰って調べてみたら、この虹は、雨の降る前などに、お月さんにかかる暈(かさ)などと同じような現象らしい。対流圏上層で発生した氷の結晶で、光が屈折し起こる現象で、虹が水滴による反射であるのとは異なる。虹は反射なので、太陽の反対側に見えるが、暈は透過屈折なので、太陽と同じ方向である。写真はどうやら、この日暈、あるいは白虹と呼ばれるもので、写真のように色の付くことは珍しい現象らしい。

シーサン・パンナは中国の少数民族・タイ族の居住区。タイ族の一部がこのあたりから南下して、現在のラオスやタイの人々の祖先になったらしい。

モスーン地帯の田園風景の中に、金色のパゴタ(仏塔)が点在し、椰子が生い茂る、現在のシーサン・パンナは、昭和40年代の日南海岸や指宿のような、新婚旅行のメッカ。工業化で豊かになった、北方中国の青年達にとって、南国の空はロマンチックな夢に違いない。僕は、日本が工業化で豊かになり始めた昭和43年に、新婚旅行で南九州を一周したことを思い出していた。因みに、北方中国、即ち北京や満州(東北地方)などの気候は、冷涼で乾燥していて、稲作には適さない。緑も少ない。それに最近では、公害で空も年中曇っている。温暖な気候に恵まれた、空気の綺麗な、緑豊かな土地に来ると、心も洗われるのだろう。それに、漢族にとって、少数民族の住む土地は、エキゾチックでもある。

この変わった虹の写真は、僕の旅の思い出であると同時に、青春の思い出でもある。

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